歯周病の検査・診断・治療計画の指針

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯周病学会から発表されている

「 歯周病の検査・診断・治療計画の指針 」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

細菌感染・炎症の検査項目

(1)プラークの付着状況

定 義:歯を 4 面に分け,各歯面の歯頸部における歯肉縁上プラークの付着の有無を測定し,
被検歯面に対するプラーク付着の割合を表示する1). 方 法:プラーク染色液を使用して染色歯面を目視で判定するか,
染色せず歯周プローブや歯 科用探針等の先端で歯面を擦過してプラーク付着の有無を判定する.
プラーク付着部 位を用紙に記載して被検歯面に対する付着歯面数を%で記載する.

意 義:歯肉縁上プラークは,歯肉の炎症を引き起こすことが実証されてお,
歯肉炎の原 因因子である.歯肉縁上プラークの存在は,歯肉縁下プラークの形成および
歯周病原 細菌と間接的に関係があるが,歯周炎の進行には他の要因が必要であると考えられている.

⑵歯周病原細菌検査

定 義:歯肉縁下プラークや刺激唾液から歯周病原細菌〈

歯周炎を発症・進行させる細菌; Porphyromonas gingivalis,Tannerella forsythia( forsythensis),Prevotella intermedia,
Treponema denticola,Aggregatibacter(Actinobacillus)actinomycetemcomitans, Eikenella corrodens〉を検出する検査. 方 法:歯肉縁下プラークをペーパーポイントで採取し,検査機関に依頼して病原細菌核酸 (DNA)定量法などにより細菌数を測定する.
また,数部位から採取した縁下プラー クを混合させたり,ガムを 5 分間かむことによる刺激唾液から病原細菌量を測定する方法もある.
さらに,歯科医院内で使用可能な,酵素法による定性細菌検査法もある.

意 義:歯周病原細菌の存在は,歯周炎の発症・進行におけるリスクを増加させることが実証 されている.
また,歯周基本治療における薬物治療(経口投与,ポケット内投与) の選択基準,歯周外科治療の必要性,治癒の判定を決定する際の重要項目の一つであ る.

⑶歯周病原細菌検査

定 義:歯肉縁下プラークや刺激唾液から歯周病原細菌〈歯周炎を発症・進行させる細菌; Porphyromonas gingivalis,Tannerella forsythia( forsythensis),Prevotella intermedia,
Treponema denticola,Aggregatibacter(Actinobacillus)actinomycetemcomitans, Eikenella corrodens〉を検出する検査. 方 法:歯肉縁下プラークをペーパーポイントで採取し,検査機関に依頼して病原細菌核酸 (DNA)定量法などにより細菌数を測定する.また,数部位から採取した縁下プラー クを混合させたり,ガムを 5 分間かむことによる刺激唾液から病原細菌量を測定する 方法もある.さらに,歯科医院内で使用可能な,酵素法による定性細菌検査法もある. 意 義:歯周病原細菌の存在は,歯周炎の発症・進行におけるリスクを増加させることが実証 されている3).また,歯周基本治療における薬物治療(経口投与,ポケット内投与) の選択基準,歯周外科治療の必要性,治  ∂ の判定を決定する際の重要項目の一つであ る.

(4)プロービング時の出血

定 義:歯周プローブをポケットに軽圧(25 g 前後)で挿入した直後にみられる,
おもにポケッ ト底部からの出血があること.

方 法:プロービングポケットデプスを測定する際に,各部位ごとに出血の有無を測定する.
通常,1 歯 4~6 カ所(  J 側近心・中央・遠心,舌側近心・中央・遠心)を測定する.
出血状態により,+(点状),++(線状,滴状)に分ける場合もある.

意 義:炎症がポケット内壁にある場合,周囲の上皮組織や結合組織が破壊されているため,
プロービングにより容易に毛細血管が損傷して,出血する.
プロービング時の出血が ある部位は,ポケット内壁に炎症が存在することを意味し,
歯周炎が進行する確率 が高い.逆に出血がないときは,病状が安定していることを示す.

)歯周組織破壊の検査項目

(1)プロービングポケットデプス)

定 義:歯周プローブをポケットに挿入した際の,歯肉辺縁からプローブ先端までの距離.
歯肉辺縁からポケット底部までの距離(組織学的ポケットデプス)に類似した値であるが,一致はしない.
方法:1 歯の最深部を代表として記載する 1 点法と,1 歯 4 カ所または 6 カ所
(J 側近心・ 中央・遠心,舌側近心・中央・遠心)を測定する方法がある.1 mm 単位で記載する.
意 義:プロービングポケットデプスは,測定時の歯周ポケットの深さを意味する.
3 mm 以 下が臨床的正常値であり,深いポケットほど嫌気性環境となり,
歯肉縁下プラークお よび歯周病原細菌がより多く存在しやすくなる.
またプロービングポケットデプス の値が大きな部位は歯周組織破壊が進行する可能性が高い.

(2)アタッチメントレベル

定 義:歯周プローブをポケットに挿入した際の,セメント-エナメル境からプローブ先端ま での距離.
セメント-エナメル境の代わりに修復補綴物の辺縁など他の基準点を使用 する場合もある.
方 法:通常,プロービングポケットデプス値に歯肉退縮量を合計する.1 mm 単位で記載す る.
意 義:アタッチメントレベルは,歯根面に付着している歯周組織の位置を意味し,
過去から 測定時までの付着喪失の結果である.アタッチメントレベルを治療前後で比較することによりアタッチメントレベルの
変化が分かり,治療効果の指標となる.治療により アタッチメントが増加した場合は::::::::::::::::::::行によ りアタッチメントが減少した場合はアタッチメントロスが生じる.

(4)根分岐部病変  :水平・垂直性骨吸収

定 義:歯槽骨吸収度は,歯根長(セメント-エナメル境から根尖)に対する,吸
)歯槽骨吸収度:水平・垂直性骨吸収 定 義:歯槽骨吸収度は,
歯根長(セメント-エナメル境から根尖)に対する,吸収した歯槽 骨距離(セメント-エナメル境から歯槽骨頂)の割合である.
両隣在歯のセメント-エ収した歯槽 骨距離(セメント-エナメル境から歯槽骨頂)の割合である.

咬合とリスクファクターの検査項目

(1)歯の動揺度 定 義:通常ピンセットを使用して,歯の動揺の程度や方向を示す.
方 法:判定基準は,0(生理的動揺 0.2 mm 以内),1 度(軽度,0.2~ 症の際には,特に動揺が強くなる12,13).エックス線写真では,初期変化として歯槽骨頂 部における歯根膜腔の拡大(ロート状拡大) ,さらに根尖部方向に拡大が増加していく

(2)早期接触 定 義:下顎の閉口運動や偏心運動時に,ほかの歯よりも先に咬合接触すること.
方法:閉口運動を数回行い再現性のある咬頭嵌合位(中心咬合位)を得る.
偏心運動では, 咬頭嵌合位からおもに側方滑走運動および前方滑走運動を数回行い再現性を得る.
その後,咬合紙を使用して印記し,早期接触歯と接触部位を特定する.
特に,動揺歯に おいては,指の腹を歯に添え,咬合接触時の振動(フレミタス)を触知するなど,注 意深い検査が必要である.

意 義:早期接触歯は,過剰な咬合力が集中し,組織の順応性を上回ることがあり,咬合性外
傷を引き起こす主要原因となる.
また,過去において早期接触状態があり,その適 応として歯が動揺,移動したり(病的移動),咬耗(過度の咬耗)したりする.

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歯科 ブリッジの種類

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本補綴歯科学会から発表されている

「 接着ブリッジのガイドライン 」 を勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

・支台装置に使用する金属の選択に際して,推奨される金合金は何か?

推奨:支台装置に使用する金属の選択に際して,保険適用外ではタイプ4金合金の選択を,保険適用の場合には金銀パラジウム合金の選択を弱く推奨する.

適合性,機械的強度と生体親和性を総合的に考慮すれば,保険適用外の材料であるタイプ4金合金が最も適している.
保険適用内であれば,金銀パラジウム合金が選択肢となるが,タイプ4金合金と比べ機械的強度が劣るため,テーナーを厚くすることが求められる.
選択にあたっては,治療コスト面などの患者の好みと価値観を考慮する.

・支台装置の設計に際して,推奨される金属の厚みはどれくらいか?

明確なエビデンスに基づいた数値は提唱できないが,アンケートで得られた強いコンセンサスは,0.2 mm 以上でエナメル質の範囲を超えない厚さである.
形成の対象となる舌側面のエナメル質の厚みは前歯で 500—660 µm,犬歯で 700—860 µm,第一小臼歯で 980—1050 µm,第一大臼歯で 1740—1930 µm であり,隣接面の厚.従って,歯質の削除量はエナメル質の範囲内で,若干のオーバーカントゥアになる程度まで可及的に厚みをもたせることが奨められる

・補綴装置内面および支台歯被着面に対して,推奨される接着前の表面処理は何か?

推奨:金属被着面処理としてサンドブラストと金属に適した接着性モノマーを含有したプライマー処理を行い,歯面処理としてリン酸エッチングを行うことを強く推奨する.

金属被着面処理として,直径 50 µm のアルミナ粒子によるサンドブラスト処理(処理後は強圧のエアーにより粒子を除去する.
水洗は行わない. )で微細凹凸構造を付与した後,金属接着性プライマーを塗布する.
ブラスト処理は汚れや唾液などの接着阻害因子の除去にも有効である.
また,シラン処理(シリカコーティングアルミナ粒子によるサンドブラスト処理など)も推奨される.
支台歯のエナメル質の被着面は 40%程度のリン酸エッチング液にて約 30 秒間エッチング処理を行い,被着面に微細凹凸構造を付与する.

・接着操作に際して,接着性レジンセメントの使用は推奨されるか?

接着ブリッジに関する臨床論文でグラスアイオノマーセメントを使用した例が全くなく,接着ブリッジは接着性レジンセメントの使用を前提としているといえる.
古くは接着性モノマーを含有していないコンポジットレジンを接着ブリッジに使用していた時代があり,それが接着ブリッジの生存率が劣る原因の一つであった.
現在では,グラスアイオノマーセメントとの比較研究はないものの,そのことがむしろグラスアイオノマーセメントの使用を許さないほど,基礎的研究データによる有益性が確立した,

接着性モノマーを有する接着性レジンセメントの使用のみが推奨されるという国際的なコンセンサスがある証拠といえる.

・ 脱離したブリッジに対して,再接着は推奨されるか?

推奨:脱離したブリッジに対して,再接着を行わないことを弱く推奨する

支台歯に二次カリエスがなく,脱離した接着ブリッジの適合やリテーナーなどに問題がない場合は,治療期間や治療コストの面から再装着も考慮される.
しかし,一見問題がないように見えても,支台歯の移動やフレームの変形による微妙なフレームの不適合が生じていることも多く,再接着後間もない脱離につながる.
従って,適合精度の正確な診断が再接着するかいなかの重要な基準

.短期間に脱離した場合には,適合以外の因子の診断が必要であることはいうまでもない.

その原因によって,再度適合精度の高い接着ブリッジを製作するのか,
部分被覆冠支台のブリッジへの設計変更を行うのか,熟慮が必要である.

治療期間,治療コストなどの患者の好みと価値観を考慮した上での判断が重
要である.

歯科 ブリッジの設計

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本補綴歯科学会から発表されている

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・支台歯形態に関して,D字型とL字型のどちらが推奨されるか?

臨床論文によるエビデンスは存在しないため,患者(P)の状況によって利点,欠点と
予測される予後を十分に考慮して選択するべきである.
事前に咬合面に修復物が装着されておらず,minimum intervention を重視する場合は,
L 字型の選択が理にかなっており,それ以外であれば,維持力の優れた D 字型が有利と考えられる.

L 字型選択の場合でも,臼歯部の咬合力に耐える剛性強度の確保が必要であり,
咬合面をわずかに覆う設計とする.
欠損側咬合面辺縁隆線部と非欠損側舌側近心あるいは遠心咬合面部に小さなレストを形成し,
リテーナー自体と連結部の剛性を高めるようにする.

装着後の適用にあたっては,歯質削除をどこまで許容す
るか,補綴装置の予知性をどの程度望むかといった患者の好みや価値観を十分に考慮す
るべきである.

・支台装置(リテーナー)の設計に際して,両側性のリテーナーと片側性のリテーナー
のどちらが推奨されるか?

海外ではオールセラミックを用いた片側性のリテーナーの適用を支持する論文が多く
なってきた.
今回,本邦のガイドラインでは保険診療を前提とした技術と材料に関する情報を収載することが妥当と考え,
オールセラミックブリッジのデータを除外して推奨度を決定した.
元来,セラミックに比べて金属の方が接着性レジンセメントへの接着力は勝っており,
側切歯または小臼歯1歯欠損症例における片側性と両側性のリテーナー設計
を比較した臨床データが蓄積されれば,近い将来推奨度が変更になる可能性がある.
しかし,現段階では片側性のリテーナーの適用には慎重になるべきである.
片側性のリテーナーの接着ブリッジを考慮したい場合の多くは一方の支台歯の候補となる歯を削合したく
ない場合であり,そのようなときの代替手段としては,咬合条件などを厳密に考慮した上
での片側性リテーナーを用いた部分被覆冠や全部被覆冠支台によるブリッジあるいは両
側性のリテーナーによる接着ブリッジや部分被覆冠支台のブリッジとなる.
また,保険適用外のインプラント治療も考慮されるべきである.
欠損部分の近遠心的幅が不足してインプラント埋入が困難な場合には接着ブリッジが有利であり,
またポンティックが審美的な歯冠形態となりにくい場合は全部被覆冠支台のブリッジによって審美な歯冠形態へ
の変更が可能となる.これらは患者の好みや価値観を十分に考慮すべきである.

・支台装置に使用する金属の選択に際して,貴金属合金と非貴金属合金のどちらが推奨
されるか?

貴金属合金,非貴金属合金ともにそれぞれ長所と短所があるものの,理論的に適合性を重視するなら貴金属合金が,フレームの機械的精度を要求するなら非貴金属合金が推奨される.
しかしながら,金属プライマーやサンドブラスト処理による接着システムが確立
した現在,高い適合精度を実現しやすい貴金属合金の方が適用範囲が広いといえる.

歯科用接着ブリッジの形成

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・支台歯に動揺のある症例に対して,接着ブリッジの適用は推奨されるか?

まず,支台歯に歯根膜面積の顕著な減少がなく,動揺度が 1 度程度までであることを前提とする.
その上で,動揺の原因が一次性の咬合性外傷によるものなのか,歯根膜面積の
減少による二次性の咬合性外傷なのかを判断することが必須である.
支台歯に動揺がみられる場合は動揺がない場合に比較して,接着ブリッジが脱離する確率が高い.

特に,支台歯間に動揺度の差がある場合には適用できない.
しかしながら,ともに類似の動揺度であれば適用できる可能性があり,
その場合,より強固な維持形態を支台歯に付与したり,
ブリッジ自体の剛性をより高める工夫が必要となる.
咬合接触関係の是正が必要な場合は,部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジの適用が理にかなっており,
また支台歯の動揺自体が歯列全体として問題な場合は部分床義歯やインプラント治療を考慮することとなる.
いずれにしても,患者の好みや価値観を考慮しつつ,治療コストとそれに見合うだけの補綴装置や歯の予知性などの短期的・長期展望に立った上での選択が重要である.

・支台歯形成に際して,エナメル質に限局した形成は推奨されるか?

接着の観点からエナメル質に限局した形成は非常に有利であり,また咬合力に対する
抵抗形態や脱離力に対する維持形態の付与を必要最小限に行う観点からエナメル質内の形成を行うべきである.
実際の臨床では,既に修復がなされている場合も多く,その場合利用可能なエナメル質の量を考慮して,接着ブリッジを選択するのか,歯質の削除量を多くしてでも部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジを選択する方が有利なのか,
判断する必要がある.
一般に,患者は歯質保全を好む傾向にあり,患者の好みと価値観を十分に考慮することが重要である.

・支台歯形成に際して,グルーブの付与は推奨されるか?

グルーブの付与は支台装置の側方への脱離に対する抵抗を増大させる.
前歯部,臼歯部ともに,審美的な問題が起こらない範囲で欠損側隣接面唇・
頬側隅角部および隣在歯が残存している側の舌・口蓋側の隅角をわずかに超えたところまでを軸面形成し,その先端部分にグルーブを形成する.

ただし,下顎前歯部症例で,支台装置に直接咬合力が負荷されない条件に限っては,グルーブを付与しなくても(付与できなくても)咬合力による影響は少ないと考えられる.
反対に,咬合力の影響を受けやすい部位でのグルーブの付与は極めて重要であり,その場合グルーブ部分に一部象牙質が露出したとしても妥協できると
考えられる.

接着ブリッジのガイドライン

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・強い咬合力の予測される症例に対して,接着ブリッジの適用は推奨されるか?

推奨:強い咬合力の予測される症例に対して,接着ブリッジの適用を行わないこと を強く推奨する.
判断基準:ブラキシズムの有無,歯の咬耗および象牙質の露出の量

・支台歯に動揺のある症例に対して,接着ブリッジの適用は推奨されるか?

推奨:支台歯に動揺のある症例に対して,接着ブリッジの適用を行わないことを強 く推奨する.
判断基準:動揺度 1 度程度までの支台歯の動揺,両支台歯の動揺度の相違の有無, 咬合性外傷の有無

・支台歯形成に際して,エナメル質に限局した形態は推奨されるか?

推奨:健全な支台歯に対判断基準:支台装置が負担する咬合力の強い
金属被着面処理としてサンドブラストと金属に適した接着性モノマーを含有 したプライマー処理を行い,歯面処理としてリン酸エッチングを行うことを強 く推奨する。

接着ブリッジでは部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジに比較して,咬合力による歪みや歯の動揺による歪みに対して支台歯から離脱しようとする剥離応力が強くなる.
たとえ1歯欠損であっても,欠損部が大きくなればブリッジの歪みも大きくなる.

従って,臼歯部での従来型のブリッジの保険適用範囲は中間2歯欠損までであるが,臼歯部2歯欠損に対しては十分な熟慮が必要である.
臼歯部よりも咬合力の小さい前歯部ブリッジの保険適用は最大中間4歯欠損までであるが,同様に2歯以上の欠損に際しては適用に十分な熟慮が必要である.
ブリッジの歪みが大きなリスクと懸念される場合は,
症例に応じて保険適用範囲内外の部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジや部分床義歯,または保険適用外のインプラントによる治療が代替治療のオプションとなる.
その際,歯質削除量の許容,補綴装置の予知性,治療コストなど患者の好みや価値観を考慮した選択が重要
である.

接着ブリッジは,部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジと比較して,ブラキシズムなどによる外力に対して脆弱であるため,強い咬合力が予測される症例には不向きである.

加えて,ブラキシズムの症例では象牙質の露出が多く,接着の観点からも不利といえる.

また,通常支台装置(リテーナー)と健全歯質の境界を非咬合接触部位に設定するが,外力に対する歪みの大きさや脆弱性から,接着ブリッジでは咬合接触部位を健全歯質に設定することが望ましく,顕著な咬耗が認められる症例では設計が困難となる.

そのような場合,代替治療のオプションは部分被覆冠や全部被覆冠支台のブリッジ,あるいは保険適用外のインプラントによる歯冠修復治療となる.

その際,歯質削除量や治療コストと補綴装置の予知性には相反する関係にあることを患者によく理解してもらった上での治療選択が必要である.