根分岐部病変の治療方法

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯周病学会から発表されている

「 歯周病の検査・診断・治療計画の指針 」のガイドラインを勉強しています。

ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

根分岐部病変の治療

根分岐部病変とは,複根歯の根間中隔の歯周組織が破壊される病変で,
上顎では小臼歯と大臼歯,下顎では大臼歯に認められる.根分岐部は複雑な解剖学的形態をもった領域であり,
確実な根面清掃や肉芽組織を除去することは,困難なことが多い.

検根分岐部病変の診査のポイント
根分岐部病変に対する検査で留意すべきことは,原因の特定と病変の広がりであり,
根分岐 部探針(ファーケーションプローブ)を用いた精密なプロービングとエックス線写真による検 査が欠かせない.
エックス線写真による検査も,場合によっては偏心撮影や造影性を有する器具を挿入しての撮影も行われる.
病変の進行を促進するエナメル突起や歯根面の陥凹などにも 留意する必要がある.
近年では CT を用いた三次元的検査も可能である.

根分岐部病変の治療計画
治療法は一般に根分岐部病変の分類(1,2,3 度)によって決定される.1 度の病変では,歯周基本治療や歯周ポケット掻爬,ファーケーションプラスティなどを駆使して対応する.
2 度の病変では,歯周組織再生療法として,骨移植術,GTR 法,およびエナメルマトリック スタンパク質(EMD)を
応用した手術が適応となる.
2~3 度の病変では,トンネリングやルートセパレーション,ヘミセクション,抜歯などが適 応となる.
病変が特定の歯根周囲に限局して高度に進行しているような場合では,病変の進行した歯根のみを切除するルートリセクションもある.

根分岐部病変

定 義:
歯周炎や歯髄疾患の病変が,多根歯の根間中隔に波及した状態.おもに上顎の大臼歯,
下顎の大臼歯,上顎の小臼歯にみられ,通常 2 根分岐部と 3 根分岐部の病変がある.

方 法:
分岐部プローブや通常の歯周プローブを用いてエックス線写真を参考にしながら,進 行度を
3 段階に分ける(Lindhe & Nyman の分類) 11).
1 度:水平的な歯周組織破壊が歯の幅径の 1/3 未満.
2 度:水平的な歯周組織破壊が歯の幅径の 1/3 を超えるが,根分岐部を歯周プローブ が貫通しない.
3 度:完全に根分岐部の付着が破壊され,  J 舌的あるいは近遠心的に歯周プローブが 貫通するもの.

意 義:
根分岐部病変は,歯周基本治療では治しにくく,病変の程度により治療法が明確に異なる.
外傷性咬合や歯周-歯内病変の関与の有無も調べる必要がある.

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歯周病 歯周形成手術とは

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歯周形成手術

歯周形成手術は,審美性を回復させること以外にも,歯周病の進行を抑え,
特に歯肉,歯槽 粘膜の形態的安定をはかるために行われるものである.

1 )小帯切除術(小帯切断術)

異常に発達した小帯の切除術は,清掃性を高め,プラークコントロールを改善するとともに,
付着歯肉の幅を確保し,周囲歯周組織の安定をはかることを目的とする.また歯間離開や口唇の運動障害改善が期待できる.

2 )歯肉弁側方移動術

限局した歯肉退縮に対して,隣接する歯の角化歯肉を有茎弁として側方へ移動させ,露出根 面を被覆する術式である.
そのため,供給部に十分な角化歯肉の厚みと幅(1~2 歯程度)を必 要とする.
被覆部の骨欠損が著明な場合や歯根の露出面積が大きい場合,さらに口腔前庭が浅い場合は適応することができない.

3 )歯肉弁歯冠側移動術

歯肉退縮に対して,直下の歯肉を剥離して有茎弁を形成し,歯冠側へ移動することで,露出した歯根面を被覆する術式である.
1~2 歯の歯根露出で,付着歯肉幅が十分な場合に適応できる.

4 )歯肉弁根尖側移動術

5 )遊離歯肉移植術

遊離歯肉移植術は,確実な付着歯肉の獲得を目的として,歯根露出が認められ,
付着歯肉幅 が狭く口腔前庭が浅く,かつ清掃が困難な部位に行う.
歯肉弁側方移動術や歯冠側移動術と併 用する場合もある.供給側はおもに上顎口蓋側であり,
受容側の大きさに適した移植片を採得することができる反面,手術部位が 2 カ所になる.

6 )歯肉結合組織移植術

歯肉結合組織移植術は,確実な露出根面の被覆,口腔前庭拡張,顎堤増大による審美的改善 を目的とし,
広い範囲の歯肉退縮や多数歯にわたる歯根露出部位へ適応する.
受容側における 移植片は,骨膜側と上皮側の両面より血液供給を受けるため,遊離歯肉移植術より生着しやすい.
また,遊離歯肉移植術に比べて審美性がよい.

歯周病 歯周外科治療

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切除療法

切除療法には,歯肉切除術,歯肉弁根尖側移動術,骨切除術,骨整形術などが含まれる.
フ ラップ手術は通常,組織付着療法に分類されるが,切開の際に歯肉辺縁より歯肉カラーを大きくとると
切除療法的な意味合いが強くなる.
切除療法の選択基準を示す.切除療法を 行うと,手術後に歯肉退縮が生じるので,
口腔清掃や知覚過敏に関する指導が必要となる.

1 )歯肉切除術

定 義
歯肉(仮性)ポケット,もしくは浅い骨縁上の歯周(真性)ポケットの減少や除去を目的として,
外斜切開により歯肉切除を行う方法である.

意 義

治癒後の予測が立てやすく,手術が簡単で,しかもポケットの除去が確実である.
しかし, 術後出血や疼痛,付着歯肉幅の減少,歯肉退縮による審美障害などの問題が生じることがある.
垂直性骨吸収がある場合には,歯肉切除術では根面と骨面の状態を目視することができないため,適応症とならない.

2 )歯肉弁根尖側移動術

定 義
歯周形成手術の一つであるが,歯周ポケットを完全に除去する意味合いがあるため,切除療 法に含まれる場合もある.
歯肉弁を剥離し軟組織壁を根尖側に移動することを特徴とする.
ポ ケットの除去と同時に,付着歯肉幅の増加が可能となる.

意 義
歯肉弁根尖側移動術により歯周ポケットは減少するが,根露出面積が増えるので,
より丁寧 に口腔清掃ができるように指導する必要がある.
歯肉弁根尖側移動術は,骨切除・骨整形術を 伴うことが多い.
これは歯肉弁を根尖側に移動するにあたって,骨の辺縁形態がスムーズでな いと歯周ポケットが残存したり,
術後の歯肉形態が悪くなったりするためである

歯周組織再生療法とは?

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歯周組織再生療法
歯周病により生じた骨欠損は,垂直性,水平性,あるいは複合型の骨欠損に分類できる.
歯周囲の組織再生を期待する場合,垂直性骨欠損で骨壁数が多く,かつ狭い骨欠損ほど再生がより多く認められる.
歯周組織再生療法の選択基準に示す.GTR 法とエナメルマトリックスタンパク質(EMD,製品名エムドゲイン)を
応用した方法をメタ分析して比較すると,プロービングポケットデプス,アタッチメントレベルの獲得で
GTR 法が優れていると報告され ている.
一方,5 年間の長期的な予後評価研究や比較研究では,両者に有意差は認められないことから,
現在ではエナメルマトリックスタンパク質(EMD)を応用した方法は,GTR 法と ほぼ同程度の効果が得られるものと考えられている6,

歯周組織再生療法の種類

・歯周組織再生誘導法(GTR 法)
・エナメルマトリックスタンパク質を応用した手術法
・骨移植術

歯周組織再生誘導法(GTR 法)

歯周組織再生誘導法(guided tissue regeneration:GTR 法)は,吸収性あるいは非吸収性の膜を用いて,
歯周組織の治癒過程における歯肉上皮や歯肉結合組織の歯根面への伸展,接触を防ぎ,
歯根面に細胞セメント質を介する結合組織性新付着による歯周組織の再生を見込むものである.

適応症は,2 壁や 3 壁性の垂直性骨欠損,および 1~2 度の根分岐部病変である.
垂 直性骨欠損では,欠損幅が狭く深い骨欠損で歯周組織再生の予知性が高い.
また特に根 分岐部病変では,病変の部位によって予知性が異なるが,歯や分岐部の解剖学的形態と骨欠損 形態に依存し,
ルートトランクの長い歯において予知性が高い.

エナメルマトリックスタンパク質を応用した手術法

臨床で使用できるエナメルマトリックスタンパク質(EMD)は,幼若ブタの歯胚より抽出・ 精製したものである.
アタッチメントロスを生じた歯根面に対し,無細胞セメント質を誘導し, 歯周組織を再生させる.

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EMD を応用した手術に関して,ポケットの深さが 6 mm 以上,エックス線写真上にて深さ 4 mm 以上,幅 2 mm 以上,
根面と骨壁の角度が 25 度以下の骨欠損で 成績が良好であると報告されている.
前述の GTR 法と比較して治  ∂ 形態に違いがあるもの の,臨床的な効果に有意差はほとんどない.
1 壁性や 2 壁性の骨欠損を含め,複雑な骨欠 損形態,また多数歯にわたる骨欠損,歯根の近接,
角化歯肉が少ない場合や薄い場合にも適応 できる

骨移植術

骨欠損部の再生による歯周組織の安定,歯の支持増強による機能性,審美性の確保を目的として行う.
同種他家骨移植や異種骨移植もあるが,現在のところ,安全性の点から自家骨移植 と
人工骨移植(ハイドロキシアパタイト,リン酸三カルシウムなど)が多く用いられている.
適応はあらゆる形態の骨欠損や,根分岐部の骨欠損に応用されるが,移植材を保持する骨壁数 が多いほど良好な骨再生が期待される.
また,骨移植は GTR 膜や,EMD と併用して臨床応用 されている.
GTR 膜のみでは血餅を保持することが難しい骨壁数の少ない欠損においては,
骨移植材を併用することで,再生の場を確保することができる

歯周外科 フラップ手術治療法

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フラップ手術(歯肉  / 離掻爬術)

定 義
フラップ手術とは,骨膜を含んだ全層弁,または骨膜を骨面に残した部分層弁を
剥離,形成 後,明視下でのプラーク,歯石および不良肉芽組織を掻爬し,
ポケットの除去もしくは減少を 目的とする歯周外科手術である.

(1)フラップ キュレッタージ(アクセスフラップ手術)
定 義
フラップ キュレッタージは,後述のウィドマン改良フラップ手術とほぼ同等の目的と手技に
より行われる.歯根面へのアクセスを得るために歯肉溝切開を加えて全層歯肉弁剥離を行うこと,
さらに骨頂がわずかに露出する程度に歯肉弁を剥離することにおいて,ウィドマン改良フ ラップ手術と異なる.

意 義
根面を明視下で清掃することができ,手術侵襲が少なく,歯肉退縮も最小限で済む.

(2)ウィドマン改良フラップ手術

定 義
ポケット上皮の確実な除去と歯根面へのアクセスを得るための,全層弁剥離を伴う手術である.
歯肉辺縁から 1~2mm の外側から切開を入れ,全層弁を骨頂より 2~3 mm剥離離するが,
通常は骨切除や骨整形は行わない.明視下での歯根面汚染物質の除去が可能である.

意 義
治癒期間中に,歯肉の付着と歯肉退縮によりプロービングポケットデプスが減少するが,
歯肉と歯根面の付着様式は長い接合上皮によることが多い.

歯根面および歯周ポケットの内部に蓄積した細菌および細菌由来の汚染物 質を徹底的に取り除き,
歯肉軟組織が根面に付着するのを促すことを主目的とした手術法と定義される.

組織付着療法では,積極的な骨切除・骨整形術は行わず,歯肉弁の根尖側移動も 行わない.
また,本療法には,歯周ポケット掻爬術,新付着術3),フラップキュレッタージ(アクセスフラップ手術),
ウィドマン改良フラップ手術などが含まれる