MDCTと CBCTの使い分けについて

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科放射線学会から出ている
「 インプラントの画像診断ガイドライン」 を読んで勉強しています。
ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。

 

MDCTと CBCTの使い分けについて は?

被曝線量の差を考慮すると、限定された照射野で済む症例の場合には CBCT を 選択するべきである。ただし、MDCT(SDCT を含む)と CBCT の使い分けに関する明確 な根拠はない。また、CBCTでは CT値の計測はできない。

 

・ CBCTは機種による被曝量の差はあるが、いずれもMDCTよりも低い。しかし、 多数部位に渡る場合には必ずしも被曝線量が低いとは限らない。 ・ 距離計測精度は MDCT よりも CBCT の方が優れている。一方、視覚的評価で は MDCTが優れるとする見解がある。
9
・ E.A.O.や EU のガイドラインでは、インプラントが複数歯の場合には断層もしくは CT の適応としている。しかし、MDCTと CBCTの使い分けに関しては、インプ ラントの予定部位と本数による使い分けのガイドラインやエビデンスを提示した文献 は認められない。 ・ CBCTでは CT値は計測できない。

 

CTによる骨質評価について

インプラントの予後を推定するために骨質を評価するにあたり、CT値をその指 標とすることには明確な根拠はない。

・ EU のガイドラインには、「診療医は次の項目についての情報を必要とする」として次の 記述がある。

①骨の質と骨の量、

②残存骨の頬舌幅と高さ、

③骨外形の傾き、

④骨のアンダーカットの存在、

⑤非典型的な解剖構造(たとえば大きな骨髄腔)、

⑥病変の存在、

⑦特定の解剖構造の正確な位置(たとえば上顎洞、下顎管、オトガイ孔)。

 

この中で、ボリュームデータによる MPR 画像などで三次元的な画像表示を行えば、① の骨の質(骨質)以外の評価

・ 骨質の主観的分類である Lekholm と Zarb の分類が、予後と強い正の相関関係を持つと されている。

ただし、本来は断面画像で評価すべきところを、口内法やパノラ マなどで評価がされている点に問題がある。CT 値は、部位や性別などにより大きく左 右されるが、骨密度をほぼ反映している

(できればQCT[quantitative computed tomography 定量的 CT]が望ましい)。しかし、CT値と予後とは無関係であり、骨皮質 の厚さが埋入時のトルクや RF(resonance frequency 共振周波数)による安定度が関連し ている(EL. V)。

Lekholmと Zarb の分類と CT値はほぼ無関係であり、CT値では骨質 を評価できないといえる。CT の MPR を用いて Lekholmと Zarb の分類を行えば、さら に予後を左右する因子として重要性が増し、評価項目の第一となる可能性は残されてい る。