アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯周病学会から発表されている
「 歯周病の検査・診断・治療計画の指針 」のガイドラインを勉強しています。
ガイドラインの中の大切な内容をまとめながら、ブログに残していきたいと思います。
歯周組織再生療法
歯周病により生じた骨欠損は,垂直性,水平性,あるいは複合型の骨欠損に分類できる.
歯周囲の組織再生を期待する場合,垂直性骨欠損で骨壁数が多く,かつ狭い骨欠損ほど再生がより多く認められる.
歯周組織再生療法の選択基準に示す.GTR 法とエナメルマトリックスタンパク質(EMD,製品名エムドゲイン)を
応用した方法をメタ分析して比較すると,プロービングポケットデプス,アタッチメントレベルの獲得で
GTR 法が優れていると報告され ている.
一方,5 年間の長期的な予後評価研究や比較研究では,両者に有意差は認められないことから,
現在ではエナメルマトリックスタンパク質(EMD)を応用した方法は,GTR 法と ほぼ同程度の効果が得られるものと考えられている6,
歯周組織再生療法の種類
・歯周組織再生誘導法(GTR 法)
・エナメルマトリックスタンパク質を応用した手術法
・骨移植術
歯周組織再生誘導法(GTR 法)
歯周組織再生誘導法(guided tissue regeneration:GTR 法)は,吸収性あるいは非吸収性の膜を用いて,
歯周組織の治癒過程における歯肉上皮や歯肉結合組織の歯根面への伸展,接触を防ぎ,
歯根面に細胞セメント質を介する結合組織性新付着による歯周組織の再生を見込むものである.
適応症は,2 壁や 3 壁性の垂直性骨欠損,および 1~2 度の根分岐部病変である.
垂 直性骨欠損では,欠損幅が狭く深い骨欠損で歯周組織再生の予知性が高い.
また特に根 分岐部病変では,病変の部位によって予知性が異なるが,歯や分岐部の解剖学的形態と骨欠損 形態に依存し,
ルートトランクの長い歯において予知性が高い.
エナメルマトリックスタンパク質を応用した手術法
臨床で使用できるエナメルマトリックスタンパク質(EMD)は,幼若ブタの歯胚より抽出・ 精製したものである.
アタッチメントロスを生じた歯根面に対し,無細胞セメント質を誘導し, 歯周組織を再生させる.
岡山県 岡山市北区 今保 久米 中山道 延友 白石 花尻 北長瀬 西バイパス近く
EMD を応用した手術に関して,ポケットの深さが 6 mm 以上,エックス線写真上にて深さ 4 mm 以上,幅 2 mm 以上,
根面と骨壁の角度が 25 度以下の骨欠損で 成績が良好であると報告されている.
前述の GTR 法と比較して治 ∂ 形態に違いがあるもの の,臨床的な効果に有意差はほとんどない.
1 壁性や 2 壁性の骨欠損を含め,複雑な骨欠 損形態,また多数歯にわたる骨欠損,歯根の近接,
角化歯肉が少ない場合や薄い場合にも適応 できる
骨移植術
骨欠損部の再生による歯周組織の安定,歯の支持増強による機能性,審美性の確保を目的として行う.
同種他家骨移植や異種骨移植もあるが,現在のところ,安全性の点から自家骨移植 と
人工骨移植(ハイドロキシアパタイト,リン酸三カルシウムなど)が多く用いられている.
適応はあらゆる形態の骨欠損や,根分岐部の骨欠損に応用されるが,移植材を保持する骨壁数 が多いほど良好な骨再生が期待される.
また,骨移植は GTR 膜や,EMD と併用して臨床応用 されている.
GTR 膜のみでは血餅を保持することが難しい骨壁数の少ない欠損においては,
骨移植材を併用することで,再生の場を確保することができる