アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科保存学会から出されている
「う蝕治療ガイドライン」を読んでいます。
初期根面う蝕に対してフッ化物を用いた非侵襲的治療は有効か?
フッ化物配合歯磨剤とフッ化ナトリウム配合洗口剤を日常的に併用することにより、初期活動性根面う蝕さ再石灰化させ 非活動性にすることが可能である。また1100ppm以上のフッ化物配合歯磨剤の症だけでも表面の欠損の深さが0.5mm未満の う蝕であれば 再石灰化できる可能性がある。よって欠損の浅い初期活動性根面う蝕の場合は まずフッ化物を用いた非侵襲的治療を行って再石灰化を試み、う蝕を管理するように推奨される。
超高齢社会を迎え 中~高年者の保有歯数の増加に伴って、歯根面に発生する う蝕が急増し、日常的にその治療を行う頻度がきわめて高くなっている。厚生労働省の歯科疾患実態調査でも経年的に高齢者における う蝕有病者率の上昇が
報告されておりわが国の60~79歳の高齢者287人を対象とした近年の易学調査では根面う蝕の発症率は53,3%であったとされている。根面う蝕に対しては、ステージが進行して実質欠損が大きくなっている場合は 通常 感染歯質を削除した後に充填修復処置が適用される。しかし 歯根面は歯冠部エナメル質と比較して無機質含有量が少なく、う蝕の初期段階では 表面の脱灰軟化が生じても大きな欠損にはなっていない場合も多い。また、酸に対する抵抗性が低い歯根面に選択的に脱灰g生じて側方に拡がり 歯頚部をとりまく広い範囲に軟化が生じることも珍しくない。このような初期根面う蝕は 病変の辺縁が不明瞭で修復処置に際してどこまで削除すれば良いのか判定が困難であるうえ 部分的に切削や修復操作が容易でないことも多い。そのため 感染歯質の切削を行わづに再石灰化により その進行を抑制し う蝕を管理することが治療法のひとつとして提唱されている。このような非侵襲的な治療はMIの理念に沿った意義深いものであるうえ 住宅医療をはじめとして 全身的な問題により治療の環境や時間が制限を受ける場合にも有益な対処法であると言える。
脱灰が生じているが欠損 の浅い初期活動性根面う蝕に対して再石灰化をはかり非活動性にする治療法については、これまで 英米を中心に フッ化物の応用に関するいくつかの臨床研究がなされており、わが国でも経験的に臨床でフッ化物応用が行われている。しかし、そういった再石灰化の確率が高いかなど 非侵襲的な根面う蝕の治療法については明らかにすべき点が多く、治療方針が必要とされている。