コンポジットレジンの歴史

アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科保存学会から出されている
「う蝕治療ガイドライン」を読んでいます。

 

着色しているが硬い う蝕象牙質について

濃く着色しているが硬い う蝕象牙質を残して良いかどうかについて討論した。

う蝕検知液について

う蝕検知液の症を推奨する根拠として採択された論文のエビデンスレベルはレベル4である。確実に感染歯質を除去し過剰切削を回避するためには、う蝕検知液の染色性以上の客観的診断基準は現在のところないことから、合意に達した。

コンポジットレジン修復に裏層は必要か?

露髄はしていない深い窩洞を確実な接着によってコンポジットレジンで修復した場合、裏層の有無は術後の歯髄症状の現在に影響を及ぼさない。よって深いう蝕に対するコンポジットレジン修復に裏層は必要ない。

1960~70年代において裏層なしでコンポジットレジン修復を行うと歯髄刺激が出現すると報告され レジン材料の科学的毒性が懸念された。さらに 象牙質にリン酸処理を行ってコンポジットレジン充填を行うと歯髄症状が増悪するとも報告され、その原因として リン酸の低いpHによる刺激や スミヤー層が除去されて象細管が開口することによる外来刺激物の侵入などが考えられた。その一方で象牙顎に酸処理を行っても細菌感染がなければ歯髄症状は発生しないことが報告され、レジン修復における歯髄刺激の原因は混とんとしていた。

その後もコンポジットレジン事態に細胞毒性があることを指摘した報告、コンポジットレジン修復直後の歯髄症状の発現の原因として、レジンモノマーによる歯髄刺激を懸念した報告も依然としてあり コンポジットレジン重複の際には象牙質を水酸化カルシウム製剤やグラウアイオノマーセメントで裏層することが推奨された。

ところが、技術革新によりレジンの接着性や閉演封鎖性が向上したことに伴い細菌侵入を排除した窩洞においてレジンの成分を個々に散布した実験から成分自体の歯髄刺激は軽微であることが確認され、また接着性レジンから流出した細胞毒性を示す構成成分を混合するとその毒性は軽減されることも明らかにされた。

さらに、コンポジットレジン修復時の象牙質エッチングの刺激は軽度で一過性があり歯髄に炎症が発生する主な原因は細菌侵入に代表されるレジンの辺縁微笑漏洩であることも再確認された。最近のレジン接着システムは露髄窩洞に用いても重篤な歯髄反応を起こすことなく被蓋硬組織の形成を伴った歯髄の治癒をマメくことができることも示され、近年では接着システムが生体適合性を有することが理解できるようになった。