根管充填された根管におけるヒト唾液の歯冠漏洩

アクアデンタルクリニック院長の高田です。

根管充填された根管におけるヒト唾液の歯冠漏洩

根管治療の英語論文を読みました。

学んだ内容

本研究は、組織学的検索と色素浸透の2つの手法を用いて、
根管充填された根管の唾液浸透を時間的に評価することである。
総計160本のヒト上顎前歯が60号のHファイルで根管形成された。

それらの歯のうち10歯は根管充填を行わず、そして150歯はガッタバーチャとRothのシーラーによる
側方加圧充填法を用いた根管充填が行われた。
50歯は、厚さ約3mmとなるように仮封材を充填した。すべての歯はヒト全唾液50mL中に
浸漬し、湿度100%、温度37℃で保存した。
唾液は毎日交換した。2日、7日、14日、28日、90日ごとに、32歯を唾液から取リだした。
これらのうち2歯は根管充填をしない歯とし、根尖部1/3を培養することにより
細菌漏洩を検索した。

未仮封の10歯は、唾液浸透範囲を明らかにするために、ヘリカンインクに2日間浸漬した。
これらの歯は、脱灰後、色素浸透範囲を直接測定できるように透明標本にした。
残り20歯(仮封歯10歯と未仮封歯10歯)から、厚さ7〃mの脱灰連続切片を作成した。

切片はヘマトキシリン・エオジン染色とグラム染色(Brown-Hopps染色)を行った。
組織切片において評価された唾液浸透は、色素分析で可視化された唾液浸透より有意に小さかった。
3か月後の唾液浸透は、3か月以前の4つの観察期間と比べて有意に大きかった
と根管充填された根管でも再治療すべきであることを強く示唆している。