歯の形成障害は 小児歯科に携わる者にとってはよく像遇する先天異常である。
・エナメル質形成不全症とは
エナメル質形成障害の原因を大別すると 遺伝子に起因するものと 遺伝子に起因しないものに分かれる。
・エナメル質形成不全の原因と分類
1 遺伝性エナメル質形成不全症
2 局所的原因 歯質の一部に限局する変色や資質欠損ものから、
歯の形態異常を呈するものまでさまざま
局所の外傷
局所の感染
3全身的原因
母体の栄養障害や疾患
栄養障害
発熱性疾患
内分泌異常
感染
早期産児
歯のフッ素症
4 どのような場合にエナメル質形成不全を疑うのか
歯の色調が異常
歯面が粗造
歯質が欠損
複数の歯にある変色や歯質欠損の発生時期が一致
う蝕に罹患しにくい場所に変色や歯質欠損
う蝕検知液に無反応
特定の歯だけに大きな修復物
全顎の歯が罹患している場合は遺伝や全身疾患が原因
エナメル質形成不全への対応
成長発育を阻害することなく、年齢に応じた正しい歯列・咬合の回復および
安定につとめ 将来補綴処置を行うまでこれを維持することが大切です。
あくまで将来の治療までのつなぎに当たる暫間治療を行う。
う蝕に罹患しやすく、虫歯の進行も早いので定期的な管理が必要です。
家庭での管理が大切です。
咬耗や歯の破折は起こりやすい。
治療の最大の目的は 歯列周長や咬合高径の保持である。
定期健診と指導は下記の事項に注意して行う。
フッ化物の応用 歯科医院におけるフッ化物の局所塗布は有用です。
定期健診 2か月毎に行うのが良い。
歯ブラシの選択 罹患歯にはヘッドの小さい歯ブラシでの1本磨きを指導する。
研磨剤 研磨剤を配合していないフッ化物添加の歯磨剤を用いるとよ い
第64回日本小児保健協会学術集会からの資料をもとに作成しました。