アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本放射線学会から出されている
「口腔顎顔面外傷診療ガイドライン2015年」を読んでいます。
下顎骨骨折に対するプレート固定時に、従来のミニプレートの代わりに3次元ミニプレート(3D ミニプレ ート)を使用するか?
下顎骨骨折患者に対するミニプレートの選択において、従来型のミニプレートの代わりに3次元プレー トを使用しないことを弱く推奨する。 患者に対 する臨床上でのアウトカムとして、咬合の復位や追加処置、疼痛、合併症があり、咬合の復位や疼痛については、 2群間で有意差が認められなかった。追加処置については、1研究で3次元群で10名、従来群で17名に術後 に切開やデブリードメントおよび顎間固定を行っており、顎間固定については、従来群で有意に多く固定を必要 としていた。一方、害(合併症)については、術後感染、知覚鈍麻、骨片の動揺、スクリューの歯 根や下歯槽神経への近接、X線上での復位不十分および固定不十分などが挙げられ、1研究で、術後のX線上で の固定状態の比較において、特にオトガイ孔周囲の骨折に対し、3次元群では有意に固定不十分な症例が多かっ た。 今回のエビデンスでは、3 次元プレート 1 枚とミニプレート 1 枚の比較や、ミニプレート 2 枚の 比較が混在しており、プレートのコストが、どちらが高価になるかが不明であった。 診療ガイドラインパネル会議では、まず本 CQ も粉砕骨折は対象としないことが指摘された。また、3 次元ミニ プレートでも、プレートの厚みが、プレート製造業者によって異なるため、誤解がないように記載すべきとの意 見があった。医療消費者からは、患者本人が認知できる問題でないので、術者の慣れや、手術時間の短縮が選択 の要因となるのではないかとの意見であった。1回目の投票で、一つの選択肢に投票者の 2/3 を超えなかったた め2回目の投票を行った。1回目の投票後の議論では、コストもトレードオフであり、患者本人は認知できず、 非常に低いエビデンスではあるが効果に差がないことなどが再度確認された。その結果、あえて3次元群プレー トに変更する必要性がないとのことで、推奨文が作成された。
下顎骨骨折に対する観血的整復固定術後に、顎間固定を行うべきか?
下顎骨骨折患者に対する観血的整復固定術後に、顎間固定を行うことを弱く推奨する。 患者に対する臨床上でのアウトカムとして、咬合の復位や追加処 置、疼痛、合併症があり、咬合の復位や疼痛については 2 群間で有意差が認められなかった。追加処置について は、顎間固定あり群において感染に伴うプレート露出により、術4か月後にプレート除去を行った症例が1名い た。一方、害(合併症)については、顎間固定あり群において感染と創部し開を認めた症例が1名いた。なお、 開口障害および下歯槽神経麻痺については両群間で有意な差は認めなかった。 診療ガイドラインパネル会議では、本邦では一般的に 1 週間の固定期間が多いため期間を限定しないことにし た。また、顎間固定中は入院管理にするか(不測事態への患者の不安が少ない)、外来通院にするかの議論があ った。顎間固定によって、顎顔面周囲組織の安静などの効果も期待できる一方、術後の顎間固定を必要なしとす る論文を発表することは困難であり、出版バイアスが多いとの意見があった。
花尻、白石、大安寺、中山道、今、野田、古新田、延友、庭瀬、平野、久米、川入、 北長瀬、田中、長瀬、大福、当新田、西市、大元など
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