アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科保存学会から出されている
「う蝕治療ガイドライン」を読んでいます。
二次う蝕が認められるコンポジットレジン修復物の二次う蝕に対して、補修修復の効果に検討を加えた臨床研究は見当たらなかったが、本委員会で合意の結果、以下の合意に達した。二次う蝕に関しては う蝕除去が確実にでき、修復操作も困難でない場合、歯質保護の観点ならびに患者の肉体的負担軽減から補修修復
を行うよう推奨される。
辺縁着色または辺縁不適合が認められるコンポジットレジン修復物に対して、補修修復は問題点の改善、侵攻阻止に関して再修復と同等の効果を発揮する。また、辺縁不適合に対してはシーラントも高い効果を示す。このことは1編の非ランダム化比較試験で述べられている。それによるとみ処置と比較した場合、辺縁不適合と辺縁着色は補修修復によって辺縁不適合はシーラントによって優位に改善されたが 他の評価項目では効果は認められなかった。一方、再修復と比較した場合、補修修復とシーラントは良い成績を示したが、再研磨は優位に劣った。
ただし、経過観察が短いこととならびに症例数が少ないことなど、エビデンスの強さは脆弱性を有する。ただし、経過観察が短いことと ならびに症例数が少なかったことなど、エビデンスの強さは脆弱性を有する。
他の2編はチリで行われた研究でありアマルガム修復とコンポジットレジン修復における補修の効果に検討を加えている。補修は再修復と同等の改善効果を示した。しかし、アマルガムとコンポジットが混在すし、データの解説法に疑問がある。
さらに研究では再修復の必要がない臨床的許容範囲内の問題点を対象としているだけでなく、再修復の主原因である2次う蝕が対象になっていない。また、再研磨に関しては、一貫した結果は得られていない。再研磨は全ての辺縁着色に有効なわけでなく辺縁の段差への色素沈着に対して 高い効果を発揮すると考えられるが この点が考慮されていなかったと推測される。したがって、結論の適応には注意が必要である。
辺縁着色または辺縁不適合が認められるコンポジットレジン修復物に対しては健全歯質をより多く保存できる補修を行うよう推奨することとした。一方、2次う蝕に関しては う蝕除去が確実にできて補修操作も困難でない場合、歯質保存の観点ならびに患者の肉体的負担軽減から、補修修復を行うよう努めることの同意に達した。
実際の補修修復にあたっては 接着操作の良否が修復物の臨床経過に大きな影響を及ぼすと考えられる。古いコンポジットレジン修復を補修修復する場合 補修修復の対象はコンポジットレジンと歯質であり、古いメタルインレー修復であればその対象は金属と歯質である。その際 それぞれの面に対して確実に接着させるためには 接着面の清掃とこれに適した前処置の選択が必要である。一般にリン酸を接着面に塗布して水洗・乾燥することによって 表面の汚染を除去することができるが、その際 象牙質面に対してリン酸が流れ込まないように注意する。各被写体に対する前処理では コンポジットレジンに対してはシラン処理が有効であり、貴金属に対しては金属接着性プライマーを用いる。これらの処理の歯面への影響については議論のあるところであるが、基本的にはこれらの処理による歯面の感染を避けるべきである。一般に補修修復の場合 対象になる窩洞は小さいため 被着面ごとに確実な前処理を行うことは困難である。そのばあい歯面 とくに象牙質面に対する接着を最優先に考えるべきである。
参考までにアマルガム修復物の補修に関しては、上記以外にも臨床研究が行われており、補修の有用性が報告されている。また、メタルインレー修復物の2次う蝕や辺縁破折に関しては 比較試験や分析疫学的研究は認められていないが メタルインレーでも症例によってはコンポジットレジンによる補修修復を行うように勧められる。