アクアデンタルクリニック院長の高田です。
日本歯科保存学会から出されている
「う蝕治療ガイドライン」を読んでいます。
切削の対象となるのは どの程度に進行したう蝕か?
以下の所見が認められる場合は修復処置の対象になります。とくに複数認められる場合にはただちに修復処置を行うことが望ましい。
・歯面を清掃乾燥した状態で肉眼あるいは拡大鏡でう窩を認める
・食片圧入や冷水痛などの自発症状がある
・審美障害の訴えがある
・エックス線で象牙質の1/3を超える病変を認める
・う蝕のリスクが高い
一般に臨床判断基準は臨床研究のエビデンスに加えて 患者の希望と同意や 医師側の技術や医療環境によって決まると言われている。したがって切削介入の判断も う蝕診断の結果だけで必ずしも決まるものではない。したがって、日本独自の背景を加味して日本語論文を検索くしたところ、2つのレエビューと解説が同じ研究グループから出されていた。
それらによると臼歯部隣接面の初期う蝕への対応は
・咬翼法エックス写真により判断
・象牙質にたっしていないう蝕は経過観察
・象牙質の半分を超えるう蝕はただちに処置を行う
・象牙質の半分を超えるう蝕も ただちに充填
・象牙質の半分を超えていないう蝕は予防プログラムを実施し、拡大傾向であれば充填処置を行う。
切削介入が早いか遅いかによる その後の臨床経過を比較した臨床研究は国内外では見当たらなかった。したがって修復処置は象牙質内に0,5㎜より深い病変で考慮し、それより浅い病変では予防処置や再評価を考慮することが推奨されている。
したがって象牙質に達した場合は個々の症例で自覚症状の有無、患者の年齢、う蝕のリスク、患者の希望、術者の経験などから その進行速度を見極めたうえで切削介入しても良いだろう。